盤谷日本人商工会議所について
会頭ご挨拶
第56代 会頭 荻原 勝一
盤谷日本人商工会議所(JCC)は現在、会員企業数1,763社を数える世界最大規模の在外日本人商工会議所です。1954年に設立されて以降、66年にわたりタイにおける投資環境整備や貿易促進など経済発展に資する事業を始め、タイの皆様への教育支援など、タイ社会への貢献活動にも積極的に取り組んでおります。
さて、2020年のタイ経済ですが、米中貿易摩擦やバーツ高により昨年後半辺りから雲行きが怪しくなってきたところに、新型コロナウィルス感染拡大及びタイを始めとする各国の封鎖措置が加わり、残念ながら、過去経験したことのない経済的打撃を受け、未だ先行き見通せない状況となっております。
JCCでは、在タイ日系企業の皆様の安全を第一に考え、タイ政府が実施する感染防止策に全面的に協力するとともに、各関係機関と緊密に連携をとりながら情報共有を行い、ホームページやメールなどを通じて皆様に情報提供を行っております。また、在タイ日系企業の最低限のビジネス継続に重大な支障をきたす事項につきましては、感染防止策の趣旨に反しない範囲において、関係機関に改善を求めているところです。
まだまだ楽観を許さない状況ではありますが、「明けない夜はない」と申します。世界が新型コロナウィルスとの戦いに打ち勝ち、経済復興への道が必ず見えてくるものと信じております。その際には、タイ経済の復興にいち早く取り組み、且つ、復興需要の獲得など、攻めの姿勢に転じる必要があると考えます。在タイ日系企業の皆様に、復興に向けて何が必要かをお伺いし、タイ政府に必要な政策の実施を求めてまいりたいと存じます。
また、タイ経済の長期的な成長に必要な取り組みについては、このような状況下においても手を緩める訳にはまいりません。今回の危機では中国に供給拠点が集中している弊害が明らかになり、その反省から中国に代わる供給拠点としてのタイの地位が改めて見直しされると思われます。また、「タイランド4.0」などタイ政府の産業の高度化・高付加価値化を目指す政策は継続され、タイは引き続き魅力的な投資先となると思われます。これまでと同様に、タイ政府閣僚に直接お会いし、在タイ日系企業の要望を伝えることを通じて、在タイ日系企業の業容拡大に協力してまいりたいと存じます。特に人材育成につきましては、タイ経済成長の礎となるものであり、昨年、日タイ政府間の協力の下、開校したタイ国初の高等専門学校、いわゆる高専への支援など、長期的な視点で取り組んでまいりたいと存じます。
タイはこれまでも、1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマンショック、2011年の大規模洪水被害など、様々な経済的な危機がございましたが、在タイ日系企業はその度にタイの皆様と力を合わせながら、粘り強く克服してまいりました。現在の深刻な状況も、在タイ日系企業の皆様の相互の結びつきやタイ社会との連携により、必ずや乗り越えられるものと確信しております。
今後とも引き続き、皆様からの温かいご支援、および積極的なJCC活動へのご参画を賜りますことをお願い申し上げます。
2022年5月